この街でいちばん古いものは、比べようもないほど古い。ラールバーグの芝生のなかから、むき出しの岩が大きな背中のように盛り上がっています。半島片麻岩。地質学者はその年齢をおよそ三十億年とみています。地球でも最古級の岩で、国の地質記念物です。 根を張る草木がこの世に現れるはるか前から、この岩は空の下に横たわっていました。
庭のそれ以外のものは、すべてどこかからやって来ました。
一七六〇年、ハイダル・アリーが、この岩の下にムガル式の庭園をひらかせました。息子のティプー・スルタンがそれを完成させ、ペルシャから、アフガニスタンから、フランスから植物を取り寄せます。山と海を越えた種や苗木が、この高原に根を下ろしました。ラールバーグとは「赤い庭」。その名は、赤いバラに由来するといわれます。
最初に庭を任されたのは、ムハンマド・アリーとその息子アブドゥル・カーデルでした。そしてタミルの地から移り住んだティガラと呼ばれる庭師の人々が、王の庭の土を何代にもわたって耕しました。
イギリスの時代には、新しい旅人が来ます。植物学者です。一八五五年からヒュー・クレグホーンが助言にあたり、キューで学んだジョン・キャメロンが園長を務めました。キナ、コーヒー、茶、ペカン。世界のどの植物がインドで育つのか、この高原の土で試されました。
一八八九年、なかでもいちばん思いがけないものが届きます。ヴィクトリア女王の孫、アルバート・ヴィクター王子が、ガラスの温室の礎石を置いたのです。手本はロンドンのクリスタル・パレス。鋳鉄はグラスゴーで作られ、地球を半周して運ばれてきました。 スコットランドの鉄の骨組みにガラスをまとわせ、三十億年の岩のそばに建てたのです。
いまも年に二度、共和国記念日と独立記念日のころ、そのグラスハウスは花で満たされ、人の波が押し寄せます。岩の頂では、ケンペ・ゴウダ家の塔が、いまも庭を見守っています。
緑の糸は庭の塀では途切れず、街を北へ抜けて、イギリスの技師が引いたもうひとつの公園へと延びていきます。
場所:ラールバーグ植物園(240エーカー)
建立:1760年ハイダル・アリーが造営を命じ、ティプー・スルタンが完成
特徴:1,800種以上の植物。グラスハウスは1889年11月30日にアルバート・ヴィクター王子が礎石を置き、クリスタル・パレスを手本とする。ラールバーグの岩は約30億年前の半島片麻岩で国の地質記念物、頂にケンペ・ゴウダ家の塔。共和国記念日と独立記念日のころにフラワーショー
地図:
ベンガルール地図
公式サイト:
Karnataka Tourism
Photo: Chinmay Dhope /
Unsplash (unsplash)