ベンガルールの南のはずれ、ベグールの寺院の境内に、高さ一メートルあまりの灰色の石板が立っています。戦いで倒れた男たちのために建てられた英雄石です。古いカンナダ語の文字のなかに、彼らの誰よりも長く生きる言葉が刻まれています。ベンガルール。
石が刻まれたのは九世紀の終わり、千百年以上も前のことです。碑文は「ベンガルールの戦い」と、その戦いで命を落としたナーガッタラの息子たちを記しています。当時この土地に何があったのかは分かりません。それでも名前だけは、街が生まれるはるか前から、人々の口にのぼっていました。
この街が載っているのはデカン高原、海抜およそ九百メートル。いちばん暑い四月でも、空気はインドの多くの土地より穏やかです。大きな川はなく、低い尾根と浅い谷が波のように続きます。谷はどれも、土の堤で流れを止めれば水を溜められる形。この高原に上がってきた人々は、みなこの勾配を読むことを覚えました。
名前の由来には、ひとつの物語があります。十二世紀、ホイサラ朝の王ヴィーラ・バッラーラ二世が狩りの途中で道に迷い、飢えて疲れ果てた。貧しい老婆が、ただひとつの食べ物、茹でた豆を差し出した。王は感謝して、この地を「茹で豆の町」と名づけた――そう伝えられています。
けれどベグールの石は、その王の時代よりおよそ三百年も前に、すでにこの名を刻んでいたのです。伝説は、言葉のあとから生まれたのでした。森の木の名や「番人の町」を語源とする説もありますが、答えは出ていません。
確かなのは、名前が旅を続けたことです。首長やスルタンの時代を越え、英語の綴り「バンガロール」を越え、インド各地から来た人々の波を越えて。そして二〇一四年十一月一日、州の成立記念日に、古いカンナダ語の形が正式な名前として戻ってきました。
千百年を超える雨季の雨が、ベグールの石を洗ってきました。
石が守った名前は、倒れた男たちが歩いたよりずっと遠くまで届いています。ベグールから、道は北へ折れていく。土の砦を思い描いた、若い首長のもとへ。
場所:ベンガルール(デカン高原)。ベグール碑文はベグールのナーゲーシュヴァラ寺院境内
標高:約900m
特徴:ベグールの英雄石(9世紀末)が「ベンガルール」の名の最古の記録。「茹で豆の町」説は伝説。2014年11月1日、バンガロールから正式に改称
地図:
ベンガルール地図
公式サイト:
Karnataka Tourism
Photo: Ramyajagadish /
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