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{古市|ふるいち}の巨大な天皇陵のあいだには、中型の古墳が点在しています。長さは百メートルほどから百五十メートルほど。ひとつひとつに、時代ごとの表情があります。 [古室山古墳](https://woud.io/kofun/ja/kofun_16)は全長150メートル、四世紀の終わりから五世紀の初めごろに築かれた、{古市|ふるいち}でも初期の前方後円墳です。三段に築かれ、家や盾、靫、{衣蓋|きぬがさ}、冑をかたどった{埴輪|はにわ}が出ています。昭和五十年代に{藤井寺市|ふじいでらし}が遊歩道や植樹を整え、地域に親しまれてきた古墳でもあります。{大鳥塚古墳|おおとりづかこふん}は全長110メートル、五世紀の前半ごろ。はざみ山古墳は全長103メートルの前方後{円墳|えんぷん}で、同じく家や盾、{衣蓋|きぬがさ}の形の埴輪が出土しました。 {衣蓋|きぬがさ}とは、身分の高い人にさしかける、長い柄のついた傘のような覆いのことです。{埴輪|はにわ}に写されるほど、権威を示す道具だったと考えられています。 {青山古墳|あおやまこふん}は、ここまでの三基とは少し違い、前方後{円墳|えんぷん}ではなく、直径約62メートル、高さ約10メートルの{円墳|えんぷん}です。円い墳丘に低く短い四角の造り出しがつき、家、{衣蓋|きぬがさ}、盾、矢を納める容器、馬、人物の形の{埴輪|はにわ}が出土しました。築造は五世紀の前半とされます。{円墳|えんぷん}としては、{古市古墳群|ふるいちこふんぐん}で最大級の大きさです。墳丘の高さは、三階建ての建物ほどもあります。 墳丘の形はそれぞれ違っても、並べられた{埴輪|はにわ}の顔ぶれは似ています。家があり、傘があり、馬がいて、人がいる。墓のまわりに、ひとつの暮らしの場面が、そっくり据えられていたのです。巨大な天皇陵のあいだに、これだけ多様な古墳が築かれたことは、王の周りに、さまざまな立場の人々が集まっていたことを思わせます。 土でできた行列は、何の儀式に向かっていたのかを語りません。ただ、その並び方だけが、祈りの作法を伝えています。 名称: 古室山古墳・大鳥塚古墳・はざみ山古墳・青山古墳 所在地: 大阪府藤井寺市 古室山古墳: 前方後円墳・全長約150m・4世紀末から5世紀初め・墳丘に上がれる 大鳥塚古墳: 前方後円墳・全長約110m・5世紀前半ごろ はざみ山古墳: 前方後円墳・全長約103m・家や盾、衣蓋の形の埴輪が出土 青山古墳: 円墳・直径約62m・低い造り出しを伴う・5世紀前半 位置づけ: 巨大天皇陵のあいだに点在する中型墳 世界遺産登録: 2019年7月(百舌鳥・古市古墳群) 地図: 古市古墳群マップ 公式サイト: 百舌鳥・古市古墳群 Photo: Saigen Jiro / Wikimedia Commons (CC0)