円と四角を、ひと筆でつないだような輪郭。後ろに円い丘があり、前へ台形の張り出しが伸びる。
[前方後円墳](https://woud.io/kofun/ja/kofun_3)は古墳時代の日本列島に特有の形で、全国におよそ五千基が知られています。後円部に棺が納められ、前方部では祭りが行われたと、一般には考えられています。各地の有力者が同じ形の墓を築いたことは、ヤマトの王権を中心とした結びつきの表れとして、しばしば説明されます。ただ、各地の首長が自分たちの意思で取り入れた、という見方もあり、議論は続いています。
最初期の大型前方後{円墳|えんぷん}としては、奈良の{箸墓古墳|はしはかこふん}がよく挙げられます。そこから形が各地へ広がり、{百舌鳥|もず}・{古市|ふるいち}では最大級にまで育った、という流れで語られます。墳丘の長さで全国の一位から三位までを占めるのは、いずれも{百舌鳥|もず}・{古市|ふるいち}の{大山古墳|だいせんこふん}、{誉田御廟山古墳|こんだごびょうやまこふん}、{上石津|かみいしづ}ミサンザイ{古墳|こふん}です。多くの墳丘は二段か三段に築かれ、段の平らな面には{埴輪|はにわ}が並べられました。
古墳の形は、ほかにもあります。円いだけの{円墳|えんぷん}。四角く盛り上げた{方墳|ほうふん}。{円墳|えんぷん}に短い四角の張り出しをつけた、{帆立貝形|ほたてがいがた}の墳。{百舌鳥|もず}・{古市古墳群|ふるいちこふんぐん}には、そのすべてがそろっています。大きさと形の組み合わせは、{被葬者|ひそうしゃ}の身分や役割の違いを映していると考えられています。
形は、築かれた時代を測る物差しにもなります。古い時代の前方部は、細く低く、楽器のばちのように開いています。時代が下るにつれて、前方部は幅を広げ、後円部と同じほどの高さにまで持ち上がっていく。研究者が前方部の幅と後円部の径を一基ずつ測り、年代ごとに並べていくと、築造の順番が見えてくるのです。
現代のような測量機器のない時代に引かれた輪郭が、いま、研究者の物差しとして読み解かれている。土に描かれた線は、築いた人が思っていたよりも、ずっと雄弁でした。
テーマ: 古墳の墳形分類と
前方後円墳の構造
主な墳形:
前方後円墳/円墳/
方墳/帆立貝形墳
前方後円墳の特徴: 後円部=埋葬施設、前方部=祭祀の場と考えられている
編年の手がかり: 前方部の幅・高さの変化(古い=低く細い、新しい=広く高い)
所在地: 大阪府堺市・羽曳野市・藤井寺市
百舌鳥・古市古墳群
世界遺産登録: 2019年7月(ユネスコ世界文化遺産)
公式サイト:
百舌鳥・古市古墳群
Photo: NASA/JPL /
NASA (PDM)