昭和二十四年、一九四九年。標高二千八百七十六メートルの{摩利支天岳|まりしてんだけ}の{頂|いただき}に、東京大学{東京天文台|とうきょうてんもんだい}の観測所が開かれた。のちの乗鞍コロナ観測所である。
見つめる相手は、太陽。強い光の縁にだけ薄く広がるコロナを見るために、観測所にはコロナグラフという望遠鏡が置かれた。円盤で太陽を隠して、人工の日食をつくり、日食のあいだにしか見えないコロナを、ふだんの空で見る装置だ。
標高の高い場所ほど、光をにごらせる大気は薄い。澄んだ空気を求めて、観測所は山の{頂|いただき}へ運ばれた。
観測は、半世紀以上続いた。一九九八年以降は冬の運用をやめ、五月中旬から十月末までの夏のあいだ、観測が行われた。実際の観測は、二〇〇九年十月三十一日まで。老朽化を理由に、二〇一〇年三月三十一日付で、天文台としての役目を終えた。
開所以来、この観測所で働いた八十四人の名が、{銘盤|めいばん}に刻まれている。
その後、観測所は共同利用の施設として、研究に使われるようになった。太陽を追った小屋は、人が去ったあとも、山の{頂|いただき}に建っている。
コロナ観測所
- 1949年(昭和24年)、標高2876mの摩利支天岳の頂に置かれた。観測の対象は太陽のコロナ、フレア、プロミネンスなど、太陽の縁の現象。
- 1998年以降は冬の運用をやめ、夏のあいだ(5月中旬〜10月末)に観測した。実際の観測は2009年10月31日まで。老朽化を理由に、2010年3月31日付で天文台としての役目を終えた。
山頂の気温(1971〜2000年の月別平均)
- いちばん暖かいのは7月下旬〜8月中旬で、約11度。
- いちばん寒いのは1月下旬〜2月上旬で、約マイナス16度。
- 気温が0度を超えるのは5月上旬〜中旬、下回りはじめるのは10月中旬〜下旬。
- 風は北西からが中心で、冬のさなかの平均風速は秒速10mほど。
- この30年で平均気温は約0.7度上がり、温暖化の可能性が指摘されている。
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- 観測所へ向かう道の歴史は
軍が引いた道、石をどけたバス
- 山頂の社は
社のある頂へ