この祭りでは、ヘルメットをかぶります。見物客が、です。 元宵節、旧暦の正月十五日。鹽水の街では、ロケット花火をびっしり埋め込んだ棚に火をつけ、四方八方に発射します。人のいるほうに、水平に飛んでくる。逃げるのではなく、あえて当たりに行くものだとされています。 はじまりは、病でした。…
この祭りでは、ヘルメットをかぶります。見物客が、です。
元宵節、旧暦の正月十五日。鹽水の街では、ロケット花火をびっしり埋め込んだ棚に火をつけ、四方八方に発射します。人のいるほうに、水平に飛んでくる。逃げるのではなく、あえて当たりに行くものだとされています。
はじまりは、病でした。
疫病が流行ったとき、廟の神を街に出し、行列の道筋で爆竹を鳴らし続けた。病が収まったので、毎年やることになった。
病は、見えないものです。見えないものに対する恐れは、音と光と熱しかやることがない。この祭りの大きさは、当時の恐れの大きさです。
北の海岸には、南鯤鯓代天府があります。祭られているのは王爺。もともとは、疫病をもたらすと恐れられ、送り出す対象だった神です。それが、守る神に変わっていきました。
台南の四百年は、海と、権力と、病とのつきあいでした。そのうち二つは、もう見えなくなっています。
残ったのは、火をつける習慣だけです。今年も、同じ夕方に、同じ場所で。