足元を見てください。地面が、円い皿のようなもので敷き詰められています。 これは、割れた器を並べて、塩田の底にしたものです。土のままだと、塩に土が混ざります。器を敷けば、白い塩がとれる。買えない道具のかわりに、割れたものを使ったということです。 この塩田は十九世紀のはじめに開かれ、長いあいだ使われてきました。…
足元を見てください。地面が、円い皿のようなもので敷き詰められています。
これは、割れた器を並べて、塩田の底にしたものです。土のままだと、塩に土が混ざります。器を敷けば、白い塩がとれる。買えない道具のかわりに、割れたものを使ったということです。
この塩田は十九世紀のはじめに開かれ、長いあいだ使われてきました。
夕方に行くなら、西を向いてください。塩の白い面に、日が一度反射して、二重に見えます。
少し北へ行くと、七股の沼地です。
冬になると、黒面琵鷺、クロツラヘラサギが来ます。平たいくちばしを横に振って、浅い水の中の魚を探す鳥です。世界で数千羽しかいないとされ、そのかなりの部分がこの一帯で冬を越します。
この鳥がここに来るのは、人がつくった浅い水面があるからです。塩田、養殖池、使わなくなった水路。
内海を埋めたのも人で、そのあとに浅い水を残したのも人です。今ここで鳥が休めるのは、その後始末の結果です。
双眼鏡がなくても、白い塵のようなものが水面に並んでいたら、それです。