この駅ができたとき、台南の中心は、ここではありませんでした。 台南の街の中心は、長いあいだ、西側でした。港が西にあったからです。廟も、市場も、商人の家も、水のあったほうに集まっていました。 鉄道は、街の東側を通りました。旧市街の外です。…
この駅ができたとき、台南の中心は、ここではありませんでした。
台南の街の中心は、長いあいだ、西側でした。港が西にあったからです。廟も、市場も、商人の家も、水のあったほうに集まっていました。
鉄道は、街の東側を通りました。旧市街の外です。
そこに駅ができると、役所と学校と銀行が、駅のほうを向いて並びはじめます。人の流れが、西から東へ、九十度回りました。いまあなたが駅を背にして歩きはじめる方向は、百年前に決まった向きです。
今の駅舎は、一九三六年にできたものです。二階には、鉄道ホテルが入っていました。食堂と客室があって、旅行者は駅から一歩も出ずに泊まれた。
ホームに降りられるなら、屋根を支えている鉄の柱を見てください。何層にも塗り重ねられています。
駅は、街の入口をつくる建物です。入口の位置が変われば、街の形も変わる。台南の東と西で雰囲気が違うのは、この線路が引いた境目のせいです。