この街の人は、願い事の種類で廟を使い分けてきました。 まず、祀典武廟の外を歩いてみてください。長い朱の壁が、道に沿ってひとつながりに続いています。屋根の線が、五つの高さで段々に上がっていくのが分かるはずです。中ではなく、外から見る建築です。…
この街の人は、願い事の種類で廟を使い分けてきました。
まず、祀典武廟の外を歩いてみてください。長い朱の壁が、道に沿ってひとつながりに続いています。屋根の線が、五つの高さで段々に上がっていくのが分かるはずです。中ではなく、外から見る建築です。
祭られているのは関羽。三国志の武将です。商人が彼を神としたのは、強いからではありません。約束を破らない人だったからです。契約が、字ではなく信用で回っていた時代の神様です。祀典という名は、国が正式に祭る廟だったことを意味します。
少し歩いたところにあるのが、天壇です。
こちらは、天を祭る場所。本来なら、天を祭れるのは皇帝だけでした。だからここは、鄭氏の政権がこの地を国だと主張していたことの、残りでもあります。
中に入ったら、真上の額を見てください。一という字が一つだけ。その周りに、小さな文字がびっしり埋まっています。人の考えを、天は全部見ているという意味だと説明されます。
商売のことなら武廟へ。どうしてもの願いなら天壇へ。海を渡るなら媽祖へ。
台南に廟が多いのは、信心深いからではなく、用件が多かったからです。