この海岸の岩のように見えるものは、岩ではありません。長い時間をかけて、海の生き物がつくった地形です。 藻礁(そうしょう)は、石灰質の殻をつくる海藻、殻状サンゴモが、少しずつ積み重なってできた地形です。桃園の海岸には、この藻礁が長く続いています。…
この海岸の岩のように見えるものは、岩ではありません。長い時間をかけて、海の生き物がつくった地形です。
藻礁(そうしょう)は、石灰質の殻をつくる海藻、殻状サンゴモが、少しずつ積み重なってできた地形です。桃園の海岸には、この藻礁が長く続いています。
干潮のとき、海岸には、でこぼこした灰色や薄い紅色の岩のようなものが現れます。その育つ速さは、ごくわずか。いま見えている藻礁は、数千年をかけてできあがったものです。
この海岸は近年、台湾じゅうの議論の的になりました。近くに天然ガスの受け入れ基地を建設する計画が進められ、藻礁への影響を心配する人々が、計画の見直しを求めたのです。
二〇二一年、この問題は国民投票にかけられました。案は成立せず、計画は、施設の位置を沖合いへずらすなどの見直しを経て進められることになりました。
エネルギーを確保すること。数千年かけてできた海岸を守ること。どちらも、多くの人にとって切実な願いでした。
干潮の時間、藻礁の割れ目には、小さなカニや貝が身を潜めています。
藻礁は、いまも、目に見えないほどの速さで育ち続けています。