この森は、人の歴史が文字に残されるよりも前から、ここに立っていた木々の森です。 拉拉山(ララシャン)は、桃園市のいちばん奥、標高千五百メートル前後の山にあります。拉拉という名は、泰雅語で「美しい」を意味するとされます。…
この森は、人の歴史が文字に残されるよりも前から、ここに立っていた木々の森です。
拉拉山(ララシャン)は、桃園市のいちばん奥、標高千五百メートル前後の山にあります。拉拉という名は、泰雅語で「美しい」を意味するとされます。
森の奥には、紅檜(ベニヒ)の巨木が群れて立っています。台湾の固有種で、樹齢千年を超える木も少なくありません。いちばん古いものは、二千年を超えるともいわれます。
紅檜の樹皮は赤みを帯び、縦に細く裂けています。雨の日には、その溝を水が筋になって流れ落ちます。
日本統治期、台湾の山では紅檜や扁柏(タイワンヒノキ)が盛んに伐り出されました。日本の神社や寺の建材にも使われています。ここ拉拉山の巨木群は、山の奥深くにあったことなどから、伐採を免れました。
夏には、ふもとの斜面で水蜜桃(すいみつとう)が実ります。拉拉山の桃は、台湾でも知られた名産です。
桃園という名の街の、いちばん奥で、いまも桃が実っています。
Photo: S8321414 /
Wikimedia Commons (CC-BY-SA-4.0)