島のいちばん高いところに、白い塔が立っています。昼は展望台、夜は相模湾を照らす灯台。江の島シーキャンドルです。江ノ電が開業百周年の記念事業として建てた展望灯台です。 塔の上からは、島を中心に、三百六十度の景色が広がっています。…
島のいちばん高いところに、白い塔が立っています。昼は展望台、夜は相模湾を照らす灯台。江の島シーキャンドルです。江ノ電が開業百周年の記念事業として建てた展望灯台です。
塔の上からは、島を中心に、三百六十度の景色が広がっています。
その三百六十度を、十六に分けると、北、北北東、北東、東北東……。方位磁針に刻まれた十六の方位です。昔の船乗りは、この方位で風を読み、行き先を決めました。
十六の方位のあちこちに、この土地を行き来した人々の目印があります。西には富士山、北西には大山。江戸の人々が参詣の旅で目指した山です。東には稲村ヶ崎、その向こうが武士の都、鎌倉。南の海には、晴れた日にだけ伊豆大島が浮かびます。
方角の手がかりになるのは、太陽です。午前中なら、太陽は東から南の側にあり、午後なら、南から西の側に移っています。
空気の澄んだ冬の朝は、遠くの山の稜線まではっきりと浮かびます。夏は霞んで、見えない日も多くなります。見えない日も、そこにある山と、その山を目指した旅人の道は、変わらずに続いています。
十六の方位は、どれも、この島から先へ延びていく道の方角です。