ここまで歩いてきた道のりを、もう一度、頭の中で描いてみてください。水が生まれる源流の静けさ、シダの茂る谷、湿地のハンノキ林、そして川幅を広げながら流れていく中流。やがて水は干潟にたどり着き、海と混ざり合いました。この一連のつながりには、ひとつの形があります。空から眺めると、小網代の森は、まるで一枚の葉っぱのように見える…
ここまで歩いてきた道のりを、もう一度、頭の中で描いてみてください。水が生まれる
源流の静けさ、シダの茂る谷、湿地の
ハンノキ林、そして川幅を広げながら流れていく中流。やがて水は
[干潟](https://woud.io/koajiro/ja/koajiro_11)にたどり着き、海と混ざり合いました。この一連のつながりには、ひとつの形があります。空から眺めると、
小網代の森は、まるで一枚の葉っぱのように見えるのです。葉っぱの辺縁は流域を区切る分水界にあたります。その各所から細い葉脈のような谷が伸び、小川が伸び、合流して本流の流れになって、海にそそぐ。支流、本流の作り上げる全水系に雨の水をあつめる、葉っぱの様な大地を、私たちは、
流域と呼びます。
気候変動に適応した都市開発のフレームワークADAPTMENTを進める中でこの森に出会い、岸さんと小網代野外活動調整会議の活動に深い感動を覚えたデザイナーの
太刀川英輔は、この流域思考による生態系保全の方法が世界に伝わるように、リーフフォレストという名前をつけました。
どうして、葉っぱのような流域の緑を丸ごと守ることが、そんなに大切なのでしょう。それは、流域が周辺の生き物の多様性を受け止める、ひと続きの単位だから。生態系のここに生きるおよそ
2,000種以上のいのちが、どれもひとつの場所だけでは生きられないからです。
森に象徴される緑は、流域という、葉っぱの形で守ればいい。そうすれば、近隣の生き物たちはここに逃げられる。ノアの方舟は、葉っぱの形の森、生態系のことなのかもしれない――そんな運動の、最初の場所がこの小網代なのです。そう考えると、この森に立つ意味が、静かに胸に届いてきませんか。
この森の保全のアイデアを考える中で、太刀川は自然や文化に寄付を集めるこのオーディオガイド、
WOUDiOを発明しました。WOUDはデンマークの言葉で、森を意味するのです。
小網代の活動は、水の流れる仕組みそのもの、いのちが巡る通り道そのものを頼りにして、葉っぱの形の生態系をまるごと残しました。あなたが今、ひと口飲んだ水が体に染み渡るように、この森も、源流から海まで、ひと続きの水が循環しています。葉脈をめぐる水のように、いのちは絶えず流れ、つながり、また還っていく。その循環の一部として、あまねく場所に流域がある。
それは懐かしい、未来への希望です。あなたがこれを聞いている地球上の多くの場所は、かつては小網代と同じ、リーフフォレストだったのですから。
テーマ: 流域思考による生態系保全「リーフフォレスト」
由来: ADAPTMENT を進める中でこの森に出会った
太刀川英輔が命名/WOUD はデンマーク語で「森」
キーワード: 流域=葉っぱの形の生態系/約2,000種以上のいのち
関連: 寄付を集めるオーディオガイド
WOUDiO・
小網代の保全の歴史
所在地: 神奈川県三浦市三崎町小網代
地図:
小網代の森マップ
公式サイト/Official Site:
小網代の森(神奈川県)
原稿監修 : 岸由二 (慶應義塾大学 名誉教授)
写真 : 柳瀬博一 (東京科学大学 教授)
プロデューサー :
太刀川英輔 (
NOSIGNER代表・慶應義塾大学特任教授)
発行 :
NOSIGNER・NPO法人 小網代野外活動調整会議