ここまで、源流の静けさから干潟の賑わいまで、水の流れに沿って、この森のいのちを一緒に見守ってきました。でも、ひとつ思い出してみてください。この約70ヘクタールの流域が、ひとつも分断されることなく残っているということ。それは、決して当たり前のことではありません。…
ここまで、源流の静けさから干潟の賑わいまで、水の流れに沿って、この森のいのちを一緒に見守ってきました。でも、ひとつ思い出してみてください。この
約70ヘクタールの流域が、ひとつも分断されることなく残っているということ。それは、決して当たり前のことではありません。
源流から湿地、干潟、そして海へ。これだけ完結した流域が、関東近郊で、開発の波を逃れて残った場所は、ほとんどありません。
小網代の森は、何もしなければ消えていたはずの森なのです。
この森を守り、そして手を入れ続けているのが、
小網代野外活動調整会議と呼ばれる人々の集まりです。行政、地権者、研究者、そして地元のボランティア。立場の違う人たちが、ひとつのテーブルに集まり、森のこれからを話し合ってきました。
保全というと、ただ手をつけずに放っておくこと、と思われるかもしれません。けれど、この森ではそうではないのです。湿地に光を入れるために、人の手でアシを刈る。干潟へ続く水の道を、丁寧に整える。外来種を抜き、在来の植物が戻る場所をつくる。守ることと、創ること。そのふたつが、ここでは同じ意味を持っています。
思い出してみてください。この章までに出会った、源流のせせらぎ、夜に光るホタル、泥の上をせわしなく動くカニたち。あの一つひとつのいのちは、誰かが流域そのものを丸ごと守ろうと決めたからこそ、今も同じリズムで息をしています。
あなたがこの音声を聞いている今この瞬間も、森のどこかで水は静かに流れ、小さないのちが呼吸をしています。そしてその傍らには、その流れを途切れさせないために働き続ける人たちがいます。
この場所のいのちの循環は、自然の力だけで回っているのではありません。それを見守り、寄り添う人の手が、静かに支えているのです。
テーマ: 流域全体の保全と再生活動
保全主体: NPO法人小網代野外活動調整会議
面積: 約70ヘクタールの流域
特徴: 源流から海まで分断されない一連の生態系
活動内容: 湿地の草刈り・水路の整備・外来種駆除・在来種の再生
所在地: 神奈川県三浦市
小網代の森マップ
公式サイト/Official Site:
小網代の森