夏の濃い緑が少しずつ熱を失い、空気が乾いて澄んでくる頃、小網代の森はゆっくりと衣替えを始めます。源流から湿地、そして海へと続く流域の景色が、季節の移ろいとともに静かに色を変えていくのです。 紅葉と聞くと、山深い渓谷のもみじを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、この海辺に近い森の彩りは、少し趣が違います。ここで秋…
夏の濃い緑が少しずつ熱を失い、空気が乾いて澄んでくる頃、
小網代の森はゆっくりと衣替えを始めます。源流から湿地、そして海へと続く
流域の景色が、季節の移ろいとともに静かに色を変えていくのです。
紅葉と聞くと、山深い渓谷のもみじを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、この海辺に近い森の彩りは、少し趣が違います。ここで秋を告げるのは、ハゼノキとよばれるウルシの仲間。ハゼノキの葉は、ほかのどの木よりも早く、燃えるような深い紅へと染まっていきます。一枚の葉がいくつもの小葉に分かれ、その先端から少しずつ赤みが差していく様子は、まるで時間をかけて絵筆を重ねていくようでもあります。
この森の秋を語るうえで、もう一種欠かせないのがエノキです。秋が深まると、エノキの大木をつつむ無数の葉は、澄んだ鮮やかな黄色へと色を変えていきます。エノキは、甘い小さな実をみのらせて、多くの鳥や、昆虫たちのいのちを支える木でもあります。新鮮な葉は、
ゴマダラチョウをはじめとする蝶の幼虫を育て、ヤマトタマムシの成虫の食草ともなります。紅葉してゆくエノキの一年の歴史は、無数の命を賑やかに支えた仕事を、締めくくる挨拶でもあるのです。
時期: 秋
主役: ハゼノキ(ウルシの仲間・燃えるような紅)と、エノキ(澄んだ黄色)
エノキの役割: 甘い実が鳥や昆虫を支え、
ゴマダラチョウやヤマトタマムシの食樹
注意: ウルシ類はかぶれる成分を含むため触れない
関連: 海辺の暖地性の森ならではの紅葉/
流域の景色
所在地: 神奈川県三浦市三崎町小網代
地図:
小網代の森マップ
公式サイト/Official Site:
小網代の森(神奈川県)
原稿監修 : 岸由二 (慶應義塾大学 名誉教授)
写真 : 柳瀬博一 (東京科学大学 教授)
プロデューサー :
太刀川英輔 (
NOSIGNER代表・慶應義塾大学特任教授)
発行 :
NOSIGNER・NPO法人 小網代野外活動調整会議
Venue-official content of 小網代の森. Supervised by: 小網代の森.