来たときと同じ橋を、反対向きに渡る道です。 橋の上から眺める島は、来たときとは違って見えます。手前の高まりに辺津宮と中津宮、頂上にシーキャンドル。その奥、谷を挟んだ向こうに、奥津宮と岩屋のある西の山。どこに何があったのかが、島の形で読み取れます。…
来たときと同じ橋を、反対向きに渡る道です。
橋の上から眺める島は、来たときとは違って見えます。手前の高まりに辺津宮と中津宮、頂上にシーキャンドル。その奥、谷を挟んだ向こうに、奥津宮と岩屋のある西の山。どこに何があったのかが、島の形で読み取れます。
島の東側に広がる港は、一九六四年の東京オリンピックのために海を埋め立ててつくられた湘南港です。ヨット競技の会場になり、そのとき、車で渡れる江の島大橋も架けられました。そして五十七年後の二〇二一年、江の島はふたたびオリンピックのセーリング会場になりました。世界じゅうから集まった選手たちが、この港から帆を上げ、相模湾へ出ていったのです。
潮が引いたときだけ歩いて渡れた島。舟や人の背に負ぶわれて渡った島。明治に木の橋が架かり、昭和には車が渡り、いまは毎日たくさんの人がこの橋を渡ります。渡り方は変わっても、人はずっと、この島を目指してきました。
海の神の島、龍と天女の島、塔から十六の方位を見渡す島。
富士山が見えなかった日は、もう一度来る理由ができた日です。橋の先の道は、江ノ電の駅へ、大山へ、鎌倉へ。この島から、いくつもの道が延びています。