江の島の対岸、江ノ電の線路を越えた先に、龍口寺があります。その背後の山が、江の島の縁起で、五頭龍が姿を変えたと伝えられる山です。 天女と結ばれた龍は、やがて力尽き、それでも天女の住む江の島を守り続けるため、島の方を向いて横たわり、山になったといいます。龍の口にあたる場所が、龍口(たつのくち)。この寺の名前も、この地名か…
江の島の対岸、江ノ電の線路を越えた先に、龍口寺があります。その背後の山が、江の島の縁起で、五頭龍が姿を変えたと伝えられる山です。
天女と結ばれた龍は、やがて力尽き、それでも天女の住む江の島を守り続けるため、島の方を向いて横たわり、山になったといいます。龍の口にあたる場所が、龍口(たつのくち)。この寺の名前も、この地名から来ています。
この場所には、もう一つの大きな物語があります。一二七一年、幕府を批判した僧、日蓮が、ここで首を斬られようとしました。鎌倉から海沿いの道を、夜のうちに引き立てられてきたのです。刀が振り上げられたその瞬間、江の島の方角から光る玉のようなものが飛んできて、役人たちの目がくらみ、処刑は取りやめになったと伝えられています。龍ノ口法難(たつのくちほうなん)です。のちに、この場所に寺が建てられました。
島の方角から来た光が、僧の命を救った。龍が守っていたのは、島だけではなかったのかもしれません。
境内の奥の高台には、木造の五重塔が立っています。その高台からは、海の上に江の島が見えます。
龍は島を見守り、島は龍を見返している。この寺と江の島は、橋を挟んで向かい合っています。
島で語られてきた龍の物語は、ここで結末を迎えます。そして江ノ電の線路は、この寺の前から腰越の町を抜け、鎌倉へと続いています。