島の南の崖の下に、波が長い年月をかけて岩を削ってできた海の洞窟があります。江の島岩屋。この島の信仰は、ここから始まったと伝えられています。 弁財天は、もとはこの岩屋に祀られていました。奥へ進むと、灯りの届かない暗がりが続きます。その奥深くで、古くから多くの僧が修行したといいます。平安時代の弘法大師、空海も、その一人に数…
島の南の崖の下に、波が長い年月をかけて岩を削ってできた海の洞窟があります。江の島岩屋。この島の信仰は、ここから始まったと伝えられています。
弁財天は、もとはこの岩屋に祀られていました。奥へ進むと、灯りの届かない暗がりが続きます。その奥深くで、古くから多くの僧が修行したといいます。平安時代の弘法大師、空海も、その一人に数えられています。
岩屋の奥は、富士山の麓の洞穴までつながっている。そんな言い伝えもあります。もちろん、実際につながっているわけではありません。けれど、海の神の島の洞窟と、山の神の山の洞穴とが、地の底でつながっていると考えたところに、昔の人の思い描いた世界の広がりがあります。
岩屋は、波が打ち寄せる崖の下にあります。昔は、潮や波の具合で近づけない時期もありました。いまも、波の高い日には立ち入りが制限されることがあります。
洞窟の中は、小さな灯りをたよりに進む暗がりです。岩の壁は、ひんやりと湿っています。入口の方角には、海の光が、暗がりの中に開いた窓のように浮かんでいます。千年前の修行者も、この暗がりの中から、同じ光を見ていたのかもしれません。
洞窟を出ると、道は崖沿いを戻り、再び石段を上って、島の東へ続いています。