島の南の崖の下には、海の洞窟、岩屋があります。その岩屋のちょうど真上にあたる場所に、小さな社が建っています。龍宮(わだつみのみや)。祀られているのは、龍の神です。 わだつみとは、海の神のことです。岩屋の洞窟の奥は、海の底の龍の住まいへ通じている。そんな信仰が、昔からこの島にはありました。この社は、その洞窟の真上で、龍の…
島の南の崖の下には、海の洞窟、岩屋があります。その岩屋のちょうど真上にあたる場所に、小さな社が建っています。龍宮(わだつみのみや)。祀られているのは、龍の神です。
わだつみとは、海の神のことです。岩屋の洞窟の奥は、海の底の龍の住まいへ通じている。そんな信仰が、昔からこの島にはありました。この社は、その洞窟の真上で、龍の神を祀っています。
この島の縁起には、一匹の龍が登場します。かつて村を苦しめた、五つの頭を持つ龍、五頭龍です。天女に心を奪われ、もう悪いことはしないと誓った龍。心を入れ替えた龍は、その後どうなったのか。
この島では、龍は海の神の使いとも、海の神そのものとも考えられてきました。岩屋の奥に棲む龍、社に祀られる龍、島を守る龍。天女との約束を守った龍が、いまも島の底から、この島を支えている。この社には、そんな龍の姿が重ねられています。
ただ、縁起には、もう一つの結末も伝わっています。龍は、天女の住むこの島を見守り続けるために、対岸で山になった、というのです。
その山は、いまも橋の向こう、江ノ電の線路の先にあります。龍の物語の続きは、島を出て、対岸へ続いています。